宗方コーチの死 そして謎の僧侶現る


尾崎ネタはまだ掘り起こせば出てくるんですが、そろそろ当初のもう一つの質問にお答えします。
「エースをねらえ!」って宗方コーチが死んだ後、最後はどうなっちゃうんですか?      
すっごく知りたいので、どうかよろしくお願い致します。
これ結構、知らない人多いかなと思います。私も読み返そうと思ったきっかけは、コーチの死後の岡はどうなっちゃうんだろうというものでした。
だって宗方コーチは、それはそれは、岡に多大な影響を与えたんです。もう、存在自体が凄い威圧感。しかし、そんなあなたが好き。ええ、あたくし、宗方コーチの生き様にノックアウトされて、ココまでエースに嵌ってしまったのでございます。何せあの方、弄りがいあり過ぎ。そんな訳で、今回はさらっとコーチの人となりに触れつつ、↑の質問にお答えします。(うーん、答えた事になったのかな、これ。脱線しまくりのまま、この回終りそうなんですけど)


宗方コーチが、あまりにも有名な(と私だけが思っているかも)絶筆「岡、エースをねらえ」で、天に召されていった、その頃。
アメリカで、岡は絶好調の活躍であった。他にも、藤堂、尾崎、お蝶夫人、千葉が来ているんですけどね。面白いくらいさっくりと、皆の耳にコーチが死んだという知らせが入るんです。
知った彼らは茫然自失。だか、せっかく凄い活躍をしている岡には知られないようにと、涙ぐましい隠しをするんです。その、お陰で岡は好成績を収め、日本に帰る。
しかし、昇り調子のテンションを一気に突き落とすように、コーチの死を知る岡。あまりにもの衝撃に、廃人同然に。
だが、ここで謎の僧侶現る。彼の名は桂大悟。宗方コーチとは無二の親友で、ダブルスのコンビも組んでいた。しかし、桂はコーチの選手生命を絶ってしまったお人でもあった。それだけならまだしも、コーチは検査の結果、テニスマンとして再起不能の上、余命幾ばくもないという事を知る。桂さん。相当ショックでしたでしょうね。ところが、ところがですよ。
やはり、私のジンジン(コーチの事。宗方仁なので)は期待を裏切らなかった。
なんと、自分の代わりに世界を目指せる逸材を探し、それを育て上げるという壮大な計画を桂に披露する。だが育て上げるには時間がかかる。きっと自分は未完のまま、この世を去らねばならない。その時は、桂に後を引き継いで欲しいというのです。


……別に、普通ジャンって思うでしょう。
しかし、これに際して、コーチがのたまう持論が、私を悶えさせるのです。もう、強引且つ大層すぎて、大笑い…いや、素敵だと思うのです。それは、こんな内容。

自分が死ねば、教え子はどん底に落ちるだろう。
しかし、そこから這い上がった者の精神力は、並大抵のものではなくなる。
『慟哭の中にこそ真理があり真髄がある。それを体験できる事は幸せなのだ』
その強靭な精神力を養うために自分の死を活かして欲しい。

死までも利用するのか。宗方仁、恐るべし。
私の中ではお約束の、腐女子フィルター装着でお二人を見ると、そりゃあ、もう、十代ペア(藤堂・尾崎)には足元にも及ばない程濃い世界を発揮。一番のヒットはここ。(ああ、脱線モード発動)


とある雪の日。宗方コーチは徐に障子をあけ外の景色を眺め自嘲気味に笑う。すると見目麗しい僧侶が現る。それが、桂大悟。
ここのカット割が凄い。心の動きに併せたコーチの表情が四段オチのように楽しめます。しかもコーチの四番目の顔ときたら。今にも雪の中裸足で駆け出さんばかりの勢いなのです。「大悟…!!」とか言って。アレは、待ちに待った恋人に会った時の表情だな。
それから、偶然にも岡は宗方コーチの家を訪れ、桂大悟に会うんですが。そこでの岡の印象


おかしなお坊さま。お水みたいに お酒飲んで シャレとばして。とても印象的。
それにコーチ
あんなにうれしそうなコーチを見たのははじめて

…そうだね。何せ長年会えなかった、恋人だからね(だから違うってば)
で、その日の夜。宗方コーチと桂大悟は岡についての最終引継ぎというのでしょうか。そう言った綿密な打ち合わせをするんですけど。そこで、宗方コーチは発作を起こすんです。「仁!!」と言って、宗方コーチを後から抱き寄せ、支える桂大悟。いく束か乱れた髪、息も絶え絶えの宗方コーチは絞るように「大声をだすな…!」と桂大悟を諭す。息を思いっきり吸い込み、何とか持ち直した宗方コーチは背後にいる桂大悟の腕を取り、丁度見上げるような表情で妖しくも語るんです。

「大悟…たのむぞ たのんだぞ これは 奇跡への挑戦だ」

その表情が堪らなく艶やかで色っぽい。それを踏まえるとさぁ、もう、次のページから、私のニヤニヤは止まらないんですの。
桂大悟に抱き支えられ、傍にあった宗方コーチ愛用のラケットを二人で愛しい様子で見つめる。
その構図だけ切り出すと、桂大悟が「攻め」で宗方コーチが「受け」
そこから二人の現役時代のシーン、まぁ因縁の「宗方仁、桂大悟とのラリーで倒れ、再起不能となる」
と言う部分が挟まれるんですけどね。それを憂い顔で思い起こす二人。手に手を取っちゃってさ。あらぬほうなんか見ちゃってさ。
絶対なんかしただろ、お前ら。二人のこれからの並々ならない決意がそこから垣間見れるんです。
で、で、そんな気は更々ない事は百も承知で(本当か?凛さん)その先を見ますと。
色っぽさ全開の宗方コーチはラケットを握り締め

「時がきたら おまえの手から岡にわたしてやってくれ」

と桂大悟の胸元でのたまう。
一方桂大悟は、そのラケットにてを添え、唯一言「…わかった」とだけ言う。またそれが恋人を気遣う大事な友人の思いを一気に受け止めようと心に決めた男の、哀愁溢れる渋い表情。以降、桂大悟は岡が完全復帰を果たすまで好きな酒を一切断つ決意をし、岡を復活させるべく奔走するのです。

そんな感じなんですけれどね。凄まじいです。お二人の結びつき。
とてもじゃないけど、ココまで大事(おおごと)に出来るのは、二人が同じ匂いを持っているお人だから。
だって、ある意味、桂大悟の都合を全く無視した、壮大な計画は、コーチならではなんですけど。
いくら自分が打った一球のせいで(しかもたまたまですよ。誰も、いや、コーチさえも知らなかったが、元々彼は身体が弱く、いつでも再起不能になる状態だった)という責任を感じているにしても、ココまで付き合えるのは…やはり…類友なんだな。
桂大悟はそれから、己を鍛え直す為に、現役選手を突然引退し、仏門へ入る。
宗方コーチの意思を受け継ぐにはそれしかないと思い込んだんですね。
そして、満をじして岡の前に現れた。その後は、岡が廃人になった所を、ひたすら修行僧のような生活をさせ、時がくるのを待つ。
あるきっかけを境に岡は何かを吹っ切るんですけど、そこからは、桂大悟を次のコーチを仰ぎ、素直に練習に打ち込んでいくのです。
岡と桂大悟の師弟関係は、ほっとするくらい普通の師弟関係です。一線強いているというか。
(まぁ、岡と宗方仁の師弟関係が特別なんですけど。それは又次回に)
とにかくスパルタで岡を見事に復活させ、世界レベルにくらい付いていくまでの実力に育てあげ、岡は大きくはばたいていくのです。

これが、エースの大まかすぎる(一部脱線でしかもくどい)結末です。
まだ補足があるんですけど、今回はココまで。
次回は「まい、ふぇーばりっと、きゃら」である宗方仁と言う男について、熱くねちっこく語らせて頂きたい。
良かったら、お付き合い下さい。

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