きみは、ツンデレラ

こちらは、当方拍手お礼SSから、昇格したものです。
以前はweb拍手のお礼としてシュボネタをいくつもいくつも掲載していたのです。ちょっとした羞恥プレイです。
「図南の翼」のあの二人で「つんデレ喫茶」をやったら…という、蓬莱版パロディもの。(苦手な方は、左のイラストだけ見て、そのまま引き返して下さいませ)
おまけとしてしか日の目を見る事のないこの話が、今回表舞台に立てたのは、ひとえに、ある方のプレゼントから。なんと、これを読んでくださったaoiさんが、とっても小粋で可愛い、強気なウエイトレス(珠晶)とやさぐれ探偵(頑丘)をイラストにして下さいました。思わずニマニマのaoiさん作品をお楽しみ下さい。。。


「こんな事がしたくて探偵になった訳じゃねぇ。
 だが、食っていく為だ、仕事は選べねぇ」


頑丘は、小さくぼやく。
彼は一人の男の後を、付かず離れずの距離を保ち、つけていた。
男が今回のターゲット。
今回の依頼も夫の素行調査。平たく言えば浮気調査だ。
ターゲットが、とある喫茶店に入った。
頑丘も暫くして、喫茶店に入る。


「いらっしゃいませ。」
目の前には、まだ、あどけなさの抜けないウエイトレスが立っていた。
ユニフォームは白のブラウスに、黒のミニスカート。
エプロンはふんだんにレースが使われていて、いかにも少女趣味なものである。
そして、頑丘は少女の立ち振る舞いに違和感を感じた。
ユニフォームと少女はこれまで見たどのウエイトレスよりしっくりきている。
だが、違和感があるのだ。
数秒後、頑丘が気がついた。
「ああ、こいつ、腰に手なんかあてて、仁王立ちなんだ。だから、違和感があるのか」
お辞儀をするわけでもなく、ただ、偉そうに立っているだけ。
頑丘はじろじろ見ていると
「ほら、さっさと空いた所に座ればいいじゃない」
ウエイトレスは、高飛車に言った。
(何なんだ、ここは)
とりあえず、すごすごと空いた席に座ると、ウエイトレスは水をがんと置き
「ほしい物があったら、勝手に言いにきなさいよ。カウンターにいるから」
と、さっさと去って行った。
頑丘は、その様子に愕然とし、怒鳴ろうかと口を開きかけたが、只今は任務遂行中。事を荒げては拙いと、言うとおりにする事にした。
見れば、ターゲットもカウンターで、何やらオーダーしている。
その様子は、嬉々としているようにも取れる。
「コーヒー」
とりあえず頑丘は、カウンター越しにオーダーをする事にした。
ウエイトレスは、くるくる髪を指で弄び
「分りました」とめんどくさそうに言って、徐に白いコーヒーカップとソーサーを出す。そして、又髪を弄る。
「注いでくれる訳じねえのか?(つうか、持ってこないのかよ)」
すると
「何で、私があなた如きの為にコーヒーを注ぐのよ。見てよ。このか弱い手。 これで、こんな重いもん持てると思う?」
ウエイトレスはこれ見よがしに、白い小さな手を見せ、コーヒーがたっぷり入った物を指差す。
頑丘は切れそうになりながらも、事を荒げない一念で、コーヒーを自分で注いで、席に戻った。
それから徐にポケットから煙草を取り出す。と、灰皿が無い事に気付く。
見るとウエイトレスは気付く様子もない。
(さっき、ついでに貰えばよかった)
しぶしぶカウンターに戻り
「灰皿をくれないか」
と言う。
ウエイトレスは、きっと睨らむと
「そんなのアンタには出せないわよ」
と言い放つ。
(こ、こいつ……。俺を何だと思ってるんだ)
とうとう拳が震える頑丘。すると、
「……煙草は身体に良くないんでしょ。それを勧める様な事、アンタには出来ないわよ……」
とぼそっと呟く小さな声。
見れば視線を外し、聊か、ほんのり顔を赤らめている。
この時頑丘は思った。
(まさか、ターゲット(やつ)は、これに嵌っているのか?そして、足しげく通うというのか)
そして、くるりと踵を反し、席に戻る。灰皿は持っていない。
頑丘の後姿が語る。

この店、又来るのも悪くないかもな


「つんデレ喫茶」とは。
多分、通常はつんつん強気の店員が、ふとした時に、相手を気遣う言葉(それで客がデレっとなる)を言うという所らしい。
と言う訳で、悪乗りしました。
…実際行った事無いし、見た事もない、想像のネタですので、これで信用しないで下さい。
そして、勿論私は珠晶・頑丘好きであります。

aoiさんのイラストはどれもこれもお洒落。
今回、この話にノッテ下さり、素敵な一品モノを頂きました。
珠晶がちょっと強気なんだけど可愛いの。頑丘の多少くたびれ感が私の心をピンポイントで付くの。
aoiさんには、リアル世界がお忙しい中、遊びに来てくれたばかりか、こんなサプライズプレゼントをおいて下さって本当に有難うございます。
お陰で、この話、拍手SSのネタの一部(マイナーリーグ)からサイト内収納(メジャーリーグ)へ昇格だよ。
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2006.6.拍手お礼SSとして初稿 2005.7.サイト内に収納
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禁無断転写